債権回収とは~債権回収の方法と流れ~
■電話による債権回収
最初に、交渉による解決を目指します。電話等で協議を行い、任意による支払いを促しましょう。相手方の経済状況等に問題がある場合には、支払期限の延長利息の減額といった形で譲歩することによって、交渉が成立する場合があります。
交渉がまとまったら、債務承諾書を作成するなどして、書面に残しておきましょう。
■内容証明郵便
内容証明郵便は、文書の内容と送付時期、差出人、送付先を郵便局が記録・証明する制度です。
内容証明郵便を利用したからと言って直ちに法律的な効果が発生するというわけではありませんが、重要な意思表示が証拠に残るというメリットがあります。
例えば債権の消滅時効が問題となる事案では、債権者が支払いを求めた時期が重要になりますが、通常の手紙で支払いを求めたのでは、債務者が手紙を捨ててしまう恐れがあります。これに対し、内容証明郵便を利用すれば、特定の時期に特定の意思表示を行ったことが確実に証拠に残ります。
■支払督促
支払督促とは、訴訟の簡易版のような手続きです。
簡易裁判所に申立てて書類審査を受け、簡易裁判所書記官から支払督促を受け取ります。債権者がこの支払督促を債務者に送付しても相手方が債務を履行しない場合には、仮執行宣言の発布を受けて強制執行を行うことが可能になります。
ただし、支払督促の相手方が異議申し立てを行った場合、執行力は発生せず、通常訴訟へと移行することになります。
■民事調停
民事調停は、簡易裁判所で調停委員の仲介のもと協議する手続きです。期日に簡易裁判所に出頭し、互いの立場を調停委員に伝え、最終的な落としどころを探っていくことになります。
民事調停は、時間や費用の点でハードルの低い債権回収手段ということができます。
そして、相手方との合意に至ることができれば調停証書が作成され、強制執行も可能になります。
ただし、相手方との合意のない限り調停は成立しないため、相手方の出方によっては徒労に終わってしまう可能性もあります。
■少額訴訟
少額訴訟は、60万円以下の金銭支払い請求を目的として、簡易裁判所で行われる裁判手続きです。
債権の存在を立証できれば、相手方がこれを争っていても給付判決を受けることができ、強制執行による債権回収が可能になるという点では通常訴訟と共通しています。他方で、即時に取り調べることができる証拠しか提出できない点、1度の口頭弁論で裁判が終了する点、利用回数が年間10件までとされている点は通常訴訟と異なっています。
なお、少額訴訟を提起しても、相手方が申立てれば通常訴訟へと移行することになります。
■訴訟
任意による債権回収や、裁判所での簡易的な手続きによる債権回収が難しい場合には、訴訟による解決を図ることになります。
訴訟では弁護士に訴訟代理を依頼するのが一般的で、時間と費用がかかるというデメリットがあります。
反対に、債権の存在等を立証することができれば、相手方の態度いかんを問わず強制執行が可能になるという点ではメリットがあります。
また、判決が確定すると、確定の時から10年間消滅時効が完成しなくなるという点もメリットといえます。
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