残業代の請求をされた時の対応について

残業代とは、実労働時間が、就業規則で定めた所定労働時間または法定労働時間を上回った場合に、通常賃金とは別に支払う必要のある賃金のことで、労働基準法37条に定められています。多くの場合では、法定労働時間である1日8時間かつ週40時間を超えたときに（労働基準法32条）残業代が発生します。また、就業規則等で定められた休日に労働した場合や、午後10時から午前10時までの深夜労働をした場合には、割増賃金を支払う必要があります。

従業員から、残業代を請求されてしまったというとき、会社としては、固定残業代やみなし残業によって残業代は支払い済みだ、と主張することが考えられるでしょう。ここで注意しなくてはならないポイントとしては、まず、「固定残業代」「残業代込み」「残業代一律〇〇万円」という名前のついているものが、残業代の役割を果たしているかどうかです。通常賃金と割増部分が明確に区別される形で支払われるなど、残業代としての実質を持っていなければ、「固定残業代」という名の通常賃金だというように判断されてしまい、残業代は未払いだと判断されるおそれがあります。また、残業代を支払っていても、実労働時間で割ると、時間当たりの給与が最低賃金を下回るというような場合は、法令違反となりますから、未払い賃金があるということになります。残業代を請求されないためにも、このような点には普段から注意が必要だと言えます。

もし残業代を請求された場合、実労働時間を正確に把握していたこと、正当な賃金を払っていたことを主張・立証することが必要になります。そのため普段から打刻等の勤怠管理を形だけのものによるのではなく、正確に把握し記録しておくことが大切です。また、残業代を請求された場合、会社名が裁判で公になるというリスクもありますから、任意の話し合いや、労働審判、調停を通した柔軟な解決をすることが望ましいでしょう。

弁護士 栗田圭司（F&J法律事務所所属）は、大阪市、堺市、高槻市、豊中市、尼崎市をはじめ、大阪府や奈良県のみなさまの法律相談を受け付けています。離婚、相続、企業法務、労働問題、不動産トラブル、債権回収など、幅広い法律問題についてご相談いただけます。

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