パワハラの慰謝料相場はいくらか
パワーハラスメント、いわゆるパワハラとは、職場において行われる、①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害される、という3つの要素をすべて満たすものをいいます。
労働者が通常就業している場所以外の場所であっても労働者が業務を遂行する場所であれば「職場」に含まれます。勤務時間外の飲み会や社員寮、通勤中などであっても事実上職務の延長と考えられるものは「職場」にあたりますが、その判断にあたっては職務との関連性、参加の強制の有無を考慮して個別的に判断されます。
この労働者には非正規雇用労働者含む雇用されているすべての労働者をいいます。
パワハラといっても様々なケースがあり、ケースごとに慰謝料の額は異なるものの、慰謝料の相場としては50万円から100万円程度です。
パワハラの種類としては、殴ったり蹴ったりなどといった身体的な攻撃、暴言を吐いたり罵声を浴びせたり人の目の前で叱責するなどの精神的な攻撃、職場で無視したり仲間外れにしたりする、達成困難なノルマややり方を指導せず業務を押し付けるような場合、プライベートに過度に立ち入る場合などがあります。
では、どのようにパワハラに対処するべきでしょうか。
まず、加害者が会社と話し合いをすることが考えられます。相手が話し合いに応じる場合、慰謝料額などを交渉することとなります。 通常、慰謝料を支払う意思があっても、相場より低い金額を提示されることが多いです。また、会社に顧問弁護士がいるような場合はその弁護士が交渉の対応をとることが多いです。相手や顧問弁護士の提案をそのまま聞き入れると適切な慰謝料を獲得することができない可能性があります。したがって、場合によっては被害者側も交渉を弁護士に依頼することをおすすめします。
次に、労働審判で争うということが考えられます。労働審判とは原則として3回以内の期日で当事者間の合意や審判によって労働問題の解決を図る手続きをいいます。この手続きは、訴訟と比べて手続きが簡易、迅速柔軟な解決が期待できるというメリットがあります。
ただし、労働審判の対象となる事件は事業者と労働者の間の紛争に限られており加害者本人の責任を追及することはできません。審判の結果に納得できない場合は、異議を申し立てることによって通常の訴訟手続に移ります。
労働審判によっても解決できない場合は通常の訴訟で争うことになります。そして、裁判所が不法行為に基づく損害賠償請求権が認められると判断した場合に、加害者に対して損害賠償を命じる判決を出します。もっとも、判決の前に和解により解決することも多いです。
パワハラが行われている場合は精神的苦痛を受けているだけではなく他の労働問題も発生している可能性があります。就業時間内に達成できないようなノルマが与えられるような場合には、サービス残業をさせられ時間外労働分の賃金が支払われないなどの賃金未払いの問題が生じるケースもあり、未払い賃金を請求することができる場合があります。
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